2025.12.04 | y氏のブログ
こんにちは、ココチエ一級建築士事務所の矢倉です。
家づくりを考えるとき、間取り・デザイン・キッチン設備など「目に見える部分」に意識が向きがちですが、実は“暮らしの満足度”を大きく左右するのは、目には見えない住宅性能です。
「冬に足元が冷える…」
「結露がなかなか止まらない…」
「夏の暑さがつらい…」
こうした悩みのほとんどは、断熱・気密・構造といった“基本性能”の設計や施工が不十分なことが原因です。
せっかく建てるなら、そしてリノベーションや増築でも、
押さえるべき大事なポイントは“数値で確認できる性能” だと、私たちはお伝えしています。
そんな想いから、今回は「断熱と気密がなぜ大事なのか」「なぜ数値で確認すべきなのか」について、少し詳しく書いてみました。
■断熱と気密がなぜ大事なのか
せっかく建てるなら押さえておきたい“性能の数値”
リノベーションや増築だって同じです。
住宅の性能を語るうえで欠かせないのが「断熱」と「気密」です。どちらか一方ではなく、この二つが揃うことで初めて、冬あたたかく夏すずしい“本当に快適な家”が実現します。特に安曇野のように冬の寒さが厳しい地域では、性能は体感や勘ではなく、必ず“数値”で確認することが大切です。
まず、断熱性能は外気の暑さ寒さを家に持ち込ませない“見えないコート”のようなもの。ここが弱いと、冬は熱が逃げ、夏は外の熱が侵入し、どれだけエアコンを使っても室温が安定しません。足元が冷える、結露が起こる、光熱費が上がる——こうした住まいの不満の大部分は断熱不足が原因です。断熱性能は UA値 で比較できますが、安曇野で快適に暮らすには UA値0.3前後がひとつの目安となります。
一方の「気密」は家の“すき間”の少なさを示す性能で、断熱と同じくらい重要です。どれだけ断熱材を入れても、すき間から暖気が逃げてしまえば性能は発揮できません。特に冬は−5℃前後になる日も多い安曇野において、気密不足はそのまま「寒さ」と「光熱費の増加」につながります。気密性能は C値(隙間相当面積) で測定し、C値0.5以下で初めて“高気密”と呼べます。C値0.2〜0.3台であれば全国トップレベルの性能です。
そして、これらの性能は新築だけの話ではありません。
リノベーションや増築でも“押さえるべき数値”は同じです。
部分的な改修でも、断熱ラインの欠損や気密の低下が起こると、家全体の性能は簡単に落ちてしまいます。「増築したら前より寒くなった」「結露が増えた」という相談は、実はこの“性能の不連続”が原因です。
さらに、性能を語る上で忘れてはいけないのが「構造」。
どれだけ断熱気密が高くても、構造が弱ければ安心して住むことはできません。特に吹抜け、大開口、片流れ屋根など、最近のデザイン住宅には簡易的な壁量計算(仕様規定)では対応しきれません。だからこそ、構造は必ず 許容応力度計算(正式な構造計算) で強さを数値で確認することが重要です。
家づくりは一生に一度の大きな選択です。
“なんとなく暖かそう”“大手だから安心”といった曖昧な判断ではなく、
UA値・C値・日射取得・日射遮蔽・構造計算という「数値」で比較する家づくりが、後悔しない唯一の方法です。
そして、ここが大事。この性能のお家を平均的に建てているか。です。
なぜか?お客様に言われたから?予算?
違うんです。予算に合わせて、エアバック外しましたってことにならないのと一緒です。
お客様のご要望でシートベルト付けましたってならない。
今や、性能はこのレベルを当たり前の基準として作られていくべきなのです。
せっかく建てるなら。
そしてリノベーションや増築でも。
「本当に大切な数値」をしっかり押さえて、快適で安心できる住まいをつくりましょう。
ヤグラセイジ
手間がかかる事に手間をかけると愛着が湧く。
家づくりに手間をかけた分だけいい家になる。