2026.02.20 | y氏のブログ
― 安曇野で景色をつくるということ ―
こんばんは。
安曇野市の工務店兼設計事務所
ココチエ建築設計の矢倉です。
私は、3か月に一度ほど東京へ出張します。
県外へ出ることは月に1~2回ありますが、ほとんどは地方都市です。
東京は、行くたびに街の景色が変わっています。
再開発。高層ビル。タワークレーン。
「あれ?ここ、前は何があったかな?」
そんな感覚になるほどのスピード感。
学生時代、就職活動で建設現場を見学した帰り道、
東京へ向かう車窓から何本も立ち並ぶタワークレーンを見て、
その規模に圧倒されたことを今でも覚えています。
「すごいな…」と同時に、
どこかでこうも思っていました。
“自分は、地元の景色をつくる人間になりたい。”
結果として私は地元に戻り、
安曇野で設計を続けています。
正解ではないけれど、納得の道
大きな建物を設計したい。
そんな夢も、もちろんありました。
建設業に携わって32年。
そのうち22年は木造住宅に関わっています。
経営者という立場でもありますが、
その前に、生涯「一設計士」でありたい。
この仕事は、建物をつくることではなく、
「暮らしの舞台」をつくることだと思っています。
家は、人生の背景になります。
帰る場所になります。
家族の記憶になります。
東京のように日々変わり続ける街も素晴らしい。
でも、帰る場所はどうでしょう。
帰る場所は、
「変わらないもの」が大切にされる地域であってほしい。
そう思うのです。
日々進化するものと、変わらないもの
技術は進化します。
断熱性能も、耐震性も、設備も、設計手法も。
高性能住宅は、間違いなく進化しています。
けれども、
変わらないものもあります。
・家族で食卓を囲む時間
・夕方の光が差し込むリビング
・静かな朝の空気
・帰ってきたときの安心感
形式は変わっても、
人が求める「ここちよさ」は、きっと変わらない。
私たちは、その“変わらない本質”を守りながら、
技術で支える家づくりをしています。
景色をつくる責任
建築は、個人の所有物でありながら、
同時に「街の風景」の一部になります。
だからこそ私は、
一棟一棟を、安曇野の景色として考えます。
・自然と調和する佇まい
・時間が経っても美しい素材
・過度に主張しない、静かなデザイン
流行ではなく、風景になる建築。
「美しい帰る場所」を増やすことが、
結果としてこの街を美しくしていく。
そう信じています。
東京で思い出したこと
タワークレーンが林立する景色を見て、
若い頃の自分を思い出しました。
あの時の志は、
正解かどうかはわかりません。
けれど、
今、安曇野で暮らし、
この街の風景をつくる仕事ができていること。
その充実感は、確かなものです。
大きな建物ではなくてもいい。
日本一高いビルを設計しなくてもいい。
目の前の一棟を、
誠実に、丁寧に、美しく。
生涯、設計士として誇りを持って。
この街に、帰る場所をつくり続けたいと思います。
ヤグラセイジ
手間がかかる事に手間をかけると愛着が湧く。
家づくりに手間をかけた分だけいい家になる。