2026.07.18 | y氏のブログ
皆様こんにちは。信州安曇野を拠点に、高気密・高断熱な木造住宅を手掛けているココチエ一級建築士事務所の矢倉です。
連日、厳しい暑さが続いていますね。これだけ暑いと、エアコンと同時に「扇風機」や「サーキュレーター」をフル稼働させて室内の空気を循環させている方も多いのではないでしょうか。
しかし、毎年この時期になると、製品評価技術基盤機構(NITE)などから「長年使っている扇風機の火災事故」への注意喚起が発表されます。「たかが扇風機で火事なんて…」と思われるかもしれませんが、実は長年愛用している家電ほど、目に見えないリスクが潜んでいるのです。
今回は、一級建築士の視点から、扇風機火災の過去の事例や原因、そして今すぐ確認してほしい「危険な前兆サイン」について分かりやすく解説します。
実際に起きている「扇風機火災」の恐ろしい現実
「扇風機から火が出る」と言われても、にわかには信じられないかもしれません。しかし、過去には以下のような重大な火災事故が実際に報告されています。
事例1:就寝中の寝室から出火
購入から15年以上が経過した扇風機をつけたまま就寝したところ、夜間にモーター部分が異常発熱。内部の配線から出火し、周囲のカーテンや布団に燃え移って住宅が全焼したケース。
事例2:長年使っていない古い扇風機の再利用
「もったいないから」と、実家の物置に眠っていた20年以上前の扇風機を引っ張り出して使用。内部のコンデンサーという部品が経年劣化により破裂し、火花が飛び散って火災になったケース。
これらの事故の共通点は、決して使い方が悪かったわけではなく、「長期間の使用による経年劣化」が原因である点です。
なぜ扇風機から火が出るのか?2つの主な原因
扇風機は構造がシンプルな家電ですが、それゆえに「壊れるまで動いてしまう」という落とし穴があります。火災に至る主な原因は次の2つです。
1. モーター内部の「コンデンサー」の経年劣化
扇風機を起動させるための重要な部品に「コンデンサー」があります。これが長年の使用によって劣化すると、絶縁不良を起こして発熱・発煙、最悪の場合は破裂して出火します。
2. 首振り機能による「内部配線の断線」
扇風機が首を振るたびに、内部の電線は少しずつ引っ張られたり捻られたりしています。何年もこの動作を繰り返すことで、内部の銅線が徐々に断線(半断線状態)になり、そこに電気が流れることでスパーク(火花)が発生するのです。
見逃さないで!買い替えを検討すべき「5つの危険サイン」
「うちの扇風機は大丈夫かな?」と思ったら、今すぐ以下のポイントをチェックしてみてください。1つでも当てはまる場合は、使用を直ちに中止し、買い替えを強くおすすめします。
スイッチを入れても、羽根がスムーズに回り始めない(手で押さないと回らない)
回転しているときに、異常な音(「ブーン」「キィキィ」など)がする
モーター部分(羽根の後ろ側)が、触れないほど異様に熱い
回っているときに、焦げくさいニオイや煙がする
電源コードを動かすと、羽根が回ったり止まったりする
特に「羽根の回りが遅い」「モーターが熱い」というのは、内部で異常な負荷がかかっている明確なサインです。
「設計上の標準使用期間」を確認しよう
平成21年(2009年)以降に製造された扇風機には、本体に「設計上の標準使用期間」が書かれたシールが貼られています。多くのメーカーでは、この期間を「8年」と設定しています。
これは、「標準的な環境で正しく使った場合、安全に使える目安の期間」です。もしご自宅の扇風機に「製造年:2012年」「標準使用期間:8年」と書かれていれば、すでに安全な期間を過ぎていることになります。
お気に入りの家電を長く大切に使うことは素晴らしいことですが、形あるものは必ず劣化します。家族の命と大切なマイホームを火災から守るためには、「家電の寿命」を正しく見極めることも、住まいづくりの大切な一環です。
まとめ:安全で快適な夏を過ごすために
せっかく高気密・高断熱な住まいでエアコンを効率よく使っていても、足元の家電が原因で火災を起こしてしまっては元も子もありません。
今日、おうちに帰ったら、ぜひご家族が使っている扇風機の「製造年」と「動き」を確認してみてください。少しでも違和感があれば、それは住まいからのサインかもしれません。
ココチエでは、家を建てるお手伝いだけでなく、皆様が建てた後も安心して、健康に、そして安全に暮らせるための情報発信を大切にしています。住まいの性能や夏の暮らし方について気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
それでは、しっかりと水分補給をして、この暑い夏を安全に乗り切りましょう!
ヤグラセイジ
手間がかかる事に手間をかけると愛着が湧く。
家づくりに手間をかけた分だけいい家になる。