2026.08.29
# 家は「買う」のではなく、一緒に「つくる」もの。
## ― ココチエに営業マンがいない理由
前回のブログでは、
**「ココチエは、何のために存在する会社なのか。」**
ということについて書きました。
2012年11月にココチエを創業するときから、何のために会社をつくるのか、どんな会社でありたいのかをしっかり考えてスタートしたこと。
そして、創業から14年近く経った今も、その根っこの部分は変わっていないということを書きました。
今回は、その中でもココチエの「家づくり」に対する考え方について書いてみたいと思います。
ココチエには、創業当時から今まで、
**いわゆる「営業マン」がいません。**
人が足りないから営業マンがいないわけではありません。
営業という仕事が必要ないと思っているわけでもありません。
創業したときから、そういう会社にしようと考えてきました。
なぜか。
それは、
**家は「売るもの」ではない。**
そして、
**家は「買う」というより、お客様と一緒に「つくるもの」だと思っているからです。**
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## 家は「商品」なのか
世の中には、たくさんの商品があります。
車を買う。
洋服を買う。
家電を買う。
いくつかの商品を比較して、自分に合ったものを選ぶ。
もちろん、それは普通のことです。
住宅も大きなくくりでは「商品」と呼ばれるのかもしれません。
でも私は、家づくりをそれだけで考えることが、どうしてもできません。
家族によって暮らし方は違います。
家族構成も違う。
好きなことも、苦手なことも違う。
朝起きる時間も違えば、家に帰る時間も違います。
料理を大切にしたいご家族。
庭で過ごす時間を楽しみたいご家族。
子どもたちとの時間を大切にしたい方。
仕事や趣味のための場所が必要な方。
老後まで安心して暮らせることを大切にする方。
一つとして同じ暮らしはありません。
そして、家を建てる土地も一つとして同じではありません。
道路の位置。
太陽の入り方。
風の通り方。
周囲の建物。
山の見え方。
庭とのつながり。
その場所に立ったときに感じる空気も違います。
だから、家づくりには最初から決まった答えがありません。
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## 「家を買う」から「家をつくる」へ
私は、お客様に「家を買う」というよりも、
**「自分たちの家をつくる」**
という感覚を持っていただきたいと思っています。
そして、この「つくる」は、ココチエだけでつくるという意味ではありません。
お客様と一緒につくる。
設計する人が一緒につくる。
現場監督が一緒につくる。
大工さん、職人さん、協力業者さんが一緒につくる。
それぞれの想いや技術、経験を持ち寄りながら、一つの家を形にしていく。
それが家づくりだと思っています。
ですから、何でもお客様の言う通りにつくればいいとも思っていません。
私たちは家づくりのプロです。
ときには、
「それは、やめた方がいいと思います」
とお伝えすることもあります。
逆に、
「ここは、少し予算をかけても残した方がいいと思います」
とお話しすることもあります。
耐震性や断熱性、耐久性など、プロとして譲ってはいけないこともあります。
それは何かを「売りたい」からではありません。
**完成したあとに、できるだけ長く「この家で良かった」と思っていただきたいからです。**
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## ココチエには、なぜ営業マンがいないのか
住宅業界では、営業担当者がいて、設計担当者がいて、工事担当者がいるという仕組みが一般的です。
それぞれが専門の仕事を担当する。
多くのお客様に対応するためには、とても合理的な仕組みだと思います。
その仕組み自体を否定するつもりはありません。
ただ、私がココチエをつくるときに大切にしたかったのは、
**「誰が家を売るのか」ではなく、「誰がお客様のことを理解して家をつくるのか」**
ということでした。
家づくりの打合せでは、本当にたくさんのお話をします。
なぜ、ここに収納がほしいのか。
なぜ、この窓からこの景色を見たいのか。
なぜ、ご夫婦でキッチンに立ちたいのか。
なぜ、玄関からリビングまでの動線を気にされるのか。
お子さんがどんなふうに過ごしているのか。
休日は家族で何をしているのか。
将来、どんな暮らしをしたいのか。
図面には書かれないことの中に、大切なことがたくさんあります。
だから私は、お客様と家をつくる人との距離をできるだけ近くしたいと思っています。
営業する人と、家を考える人。
契約する人と、家をつくる人。
それをできるだけ切り離したくない。
**家づくりそのものを通して、お客様と向き合いたい。**
それが、ココチエに営業マンがいない大きな理由の一つです。
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## 「相手の顔を見て、モノづくりができる」
以前、あるオーナー様のお家づくりをさせていただいたときのことです。
その方は、普段、車の設計に携わっていらっしゃる方でした。
同じ「ものを設計する」という仕事をされている方です。
お引渡しの頃だったと思います。
そのオーナー様から、こんな言葉をいただきました。
**「ココチエの皆さんは、相手の顔を見ながらモノづくりができる。それは大変なことも多いと思うけれど、その分、大きなやりがいがあると思う。同じ設計者として、うらやましいです。」**
そして、
**「私は、自分が設計しているものを実際に使う人の顔を、想像して、思い浮かべながら設計しています。」**
というお話もしてくださいました。
その言葉を聞いたとき、ふっと気づかされたことがありました。
私たちは毎日、お客様と直接お話をしています。
ご家族の顔を見て、
声を聞いて、
一緒に悩んで、
一緒に考えて、
家をつくっています。
完成したときには喜んでくださる顔を見ることができます。
そして、お引渡ししたあとも、その家で暮らしているご家族にお会いすることがあります。
これは、決して当たり前のことではないんだな、と。
自分たちにとって日常になっていた仕事の中に、とてもありがたいことがあるのだと、そのオーナー様に教えていただきました。
もちろん、お客様の顔が見える仕事だからこそ、大変なこともあります。
期待に応えられなければ、直接その表情を見ることになります。
間違えれば、直接ご迷惑をお掛けします。
言い訳もできません。
だから責任も大きい。
でも、その分、
「ありがとう」
と言っていただけたときの喜びも大きい。
家が完成して、ご家族が嬉しそうにしている姿を見ることができる。
お子さんが新しい家の中を走り回っている。
何年かしてお伺いすると、その家にそのご家族らしい暮らしができている。
そういう姿を見ることができる。
**相手の顔を見ながら、ものをつくることができる。**
これは、私たちの仕事の大変さでもあり、同時に、とても大きなやりがいなのだと思います。
そのオーナー様からいただいた言葉は、今でも時々思い出します。
忙しくなると、どうしても仕事を「図面」「工程」「金額」「納期」として見てしまう瞬間があります。
でも、その先には必ず、そこで暮らす人がいます。
家一棟ではなく、
**一つの家族の暮らしをつくっている。**
そんな当たり前だけれど大切なことを、ふっと思い出させてもらえる言葉でした。
こういう気づきや、ありがたい気持ちは、これからも大切にしていきたいと思っています。
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## 「売るための提案」ではなく「暮らすための提案」
営業という仕事を否定しているわけではありません。
私自身も、お客様にココチエの家づくりをご説明します。
土地の相談もします。
資金計画や住宅ローンのお話もします。
家づくりを考えている方に、ココチエを知っていただく活動も必要です。
そう考えれば、私も営業をしています。
ただ、一つだけ大切にしていることがあります。
**「売るための提案」にしないこと。**
です。
本当は30坪で十分なご家族に、会社の売上のために35坪を勧める。
必要のない設備を、利益になるから勧める。
予算が厳しいのに、「何とかなるでしょう」と契約を急ぐ。
そういうことはしたくありません。
むしろ、
「そこはお金をかけなくてもいいと思います」
とお話しすることがあります。
反対に、
「ここは削らない方がいいです」
ということもあります。
大切なのは金額を上げることでも、下げることでもありません。
**そのご家族にとって、本当に必要なものを一緒に考えること。**
それが私たちの役割だと思っています。
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## ときには「建てない」という答えもある
ご相談を受けていると、新築を建てることだけが答えではない場合もあります。
今の家を改修した方がいい。
もう少し土地を探した方がいい。
資金計画を考えると、今すぐ建てない方がいい。
ご家族でもう少し話をしてから進めた方がいい。
そんなケースもあります。
もし家を売ることだけが目的なら、早く契約していただくことが会社にとっての正解になります。
でも、家づくりはそのご家族の人生に関わります。
一生の中で何度もするものではありません。
だから、ときには立ち止まることも大切だと思っています。
私たちのところで建てることが、すべての方の正解とは限りません。
もちろん、ココチエを選んでいただけたら、本当にありがたい。
そのときは、全力で家づくりをさせていただきます。
でも、契約していただくために何かを押しつけるのではなく、
**「この選択をして良かった」**
と何年後かに思っていただくことを大切にしたいと思っています。
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## 家づくりは、最初の会話から始まっている
家づくりは、契約してから始まるのではありません。
最初にお会いしたときから、もう始まっています。
どんな暮らしがしたいですか。
今の暮らしで困っていることは何ですか。
家族でどんな時間を大切にしたいですか。
家を建てたら、何をしたいですか。
最初から全部答えられる方ばかりではありません。
むしろ、話していく中で、
「そうか、自分たちはこれを大切にしたかったんだ」
と気づくこともあります。
私たちも同じです。
お客様の話を聞きながら、
「このご家族にとって大切なのは、ここなのかもしれない」
と考えていきます。
だから、家づくりに必要なのは、上手なセールストークよりも、
**よく聞くこと。**
**よく見ること。**
そして、
**一緒に考えること。**
なのだと思います。
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## 契約がゴールではない
住宅会社にとって、契約はもちろん大切です。
契約がなければ、会社を続けることはできません。
でも、契約がゴールになってはいけないと思っています。
契約は、家づくりの途中にある一つの節目です。
本当に大切なのは、その先です。
家が完成して。
暮らしが始まって。
5年、10年、20年と時間が過ぎたとき、
**「ココチエで家をつくって良かった」**
と思っていただけるか。
そこが一番大切です。
だから、売って終わりではありません。
建てて終わりでもありません。
家をつくったあとも、お客様との関係は続いていく。
私は、それでいいと思っています。
むしろ、それがココチエらしいと思っています。
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## 「つくる」という言葉を大切にしたい
私は、「つくる」という言葉が好きです。
**作る。**
**造る。**
**創る。**
同じ「つくる」でも、それぞれ意味があります。
建築という技術で、しっかりした家を**造る**。
図面を描き、形を**作る**。
そして、お客様と一緒に、まだ存在していない新しい暮らしを**創る**。
全部を含めて、
**「つくる」**
なのだと思います。
だからココチエは、
**家を売る会社ではなく、家を一緒につくる会社でありたい。**
お客様の顔を見て、
そのご家族の暮らしを想像して、
技術者が責任を持って考え、
職人さんたちが手を動かして、
一つの家をつくる。
2012年11月にココチエを始めたときから、大切にしてきた考えです。
これから会社が成長して、人が増えても、
**「その先にいる人の顔が見える家づくり」**
だけは、忘れたくありません。
次回は、この「つくる」という言葉について、
**「作る・造る・創る」**
それぞれにどんな想いを込めているのか、もう少し深く書いてみたいと思います。
ココチエ建築設計株式会社
代表取締役 矢倉 誠治
ヤグラセイジ
手間がかかる事に手間をかけると愛着が湧く。
家づくりに手間をかけた分だけいい家になる。